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Japanese People Do Not Know Japan
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Introduction
日本がこのような状況に陥った原因の一つは戦後の教育にあります。不幸な戦争の呪縛から、前時代的な臭いのするものは良いも悪いも退けられ、日本は自国に関する教育を切り捨ててきました。また、情報化社会の中で、日本人は刺激の強い欧米の文化に飲み込まれ、それらを闇雲に取り入れてきました。もちろん、これは日本だけに限った事ではないでしょう。さらに日本の高度成長期から現在に至るまで、欧米的な尺度で非効率的と思われるものは次から次へと切り捨てられてきました。
そして近年、一段と加速するグローバリゼーションの流れの中で、とうとう日本人は自国の歴史や文化さえお荷物扱いをし始めています。このような間違った認識は、後にお話しする、日本人の「思い遣り」に裏打ちされた「日本の心」を失い、この国の根本を揺るがすきっかけともなっています。
 
Real Internationalization
ここに、昨年から日本でベストセラーを続けている、藤原正彦氏の「国家の品格」という本があります。
 
数学者であり、海外生活の経験も豊富な藤原氏は、その著書の中で、国際人になるためには外国語教育よりも、むしろ日本語教育と情緒教育の重要性を力説されております。これは藤原氏の、「いかに語学が堪能であろうと、人間として根となる部分がなければ国際人としては通用しない。」という経験に基づいています。
実は多くの日本人が、留学先や仕事上で、外国人から日本に関する質問を受けて、タジタジとした経験をしています。この事は、日本人の語学力の不足ばかりではなく、むしろ日本という国そのものに対する認識不足がその原因なのです。
 
A Natural State of Affairs
しかしながら、一番の問題点は日本人の自国に対する無知無関心ではありません。このコラムをお読みの外国人の皆様が、日本人の友人や同僚に、日本について何か質問すれば、それなりの答えが返ってくるでしょう。ところが、その中にはかなり怪しい知識が含まれています。例えば、掲載写真の「印籠」は、決して身分を証明するための物ではありませんし、印鑑を入れるためのものでもなく、江戸から明治の男性用のお洒落な薬入れなのです。
そして何よりも、そのような怪しい情報が外国人の間で、また海外で一人歩きを始め、定着することが一番大きな問題なのです。
 
いつしか「恥」という概念を忘れた日本人も、「見栄」だけは忘れておらず、外国人に対して、その場しのぎの返答を繰り返してきました。このような態度が、日本人やこの国に対する誤解に繋がっています。むしろ、「知らないことは知らないと言う勇気。」こそが、人として認められる第一歩であり、知らないことを恥じて勉強するチャンスを与えられたのだと、謙虚に受け止めるべきなのです。

 
このような、自国の事をしっかりと語りきれない日本人の、自信の無さや、腰の引けた態度が、外国に日本という国そのものを誤解させる最大の原因ともなっています。
 
Japanese Know Little About Japan
我が国の新しい総理は、「美しい国」を政策のスローガンに掲げております。では、その「国」という定義は何でしょうか。それは世界の歴史を見るまでもなく、領土でも、組織でも、ましてシステムでもありません。それは自らの歴史や文化に対する思い入れ、人の心の中にある「国という意識」でしょう。そして、この「美しい」という言葉の意味は、何よりも日本人の「心の在り方」を示しています。
二千年の永きに渡り、日本人は自然を怖れ、敬い、自然と共に生きてきました。それは人間に対しても同じであり、日本人は思い遣りの心で他を受け入れ、他と共存する道を選んできたのです。このような日本人の在り方は、時として海外から曖昧と批判され、ファジーであると非難さる場合があります。言うまでもなく、日本人は決して曖昧でもファジーでもありません。これは、他と競い争うことなく共存して行くために、日本人の遺伝子に組み込まれた知恵でもあるのです。そして、日本人のこのような在り方は、もしかすると、この21世紀の混沌とした世界を変える、一つの答えかもしれません。
 
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