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Herald Tribune asahi
富士鳥居 代表取締役 栗原直弘
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第2クールの終章
昨年の秋、当時ヘラルド・トリビューン朝日新聞の英文メディアチームの責任者だった渡邉賢一君から、「読者のために、何か新しい切り口で、コラムをお書きいただけないか。」との話があり、2006年の11月、12月、そして2007年の1月の三回に分けて、このコラムの「序」となる部分を執筆いたしました。その後ご好評を得て、第2クールを本年の2月から先月末までの3回(いずれもwww.fuji-torii.comで公開中)に分けて掲載し、今回で第2クールが終了となります。
 
第2クールの過去3回では、表参道の景観などを通し、現代の日本において、日本的な「物」や「事」が失われ始めている実体や、誰かが見ていなくとも隅々まで掃除をするような日本人の気質、そして、見えない部分まで仕上げるような日本の物造りなどを例に挙げ、「日本的な在り方」や「日本人の意識」、そして「日本人の思い遣り」についてお話ししてまいりました。しかしながら私は、このコラムが単なる日本賛美でないことを、先ず以って読者の方々にご理解いただきたいと希望いたしております。

 
日本の真実
一部の有識者の方々はすでにご存知の通り、現在の日本は、政治、経済、文化のあらゆる面において、手放しで日本賛美をしていられる状況ではありません。それは、今年の2月に刊行された副島隆彦氏の「最高支配層だけが知っている日本の真実」(ISBN978-4-88086-210-1)にもあるように、日本は巨大な力によって大きく変貌し、ある種の戦略的支配によって、独立国として存亡の危機を迎えています。このような状況においても尚、私がこのようなコラムを書き続けている理由は、「すでに日本の政治と経済の自立回復は無理だとしても、せめて文化と芸術ぐらいは守りたい。」という意識からなのです。
 
すべては人の幸せのために
私は原宿・表参道で美術品の店を経営しておりますが、近年、日本の古美術や美術工芸品を取り巻く環境も一段と厳しくなってきています。それは、日本人自身が自国の美術品に無関心であることに加え、他のアジアの国々からコピー商品や廉価品が数多く流入したことで、むしろ真面目な日本製の手造りや本物の古美術が苦戦を強いられているからなのです。
このような状況下でも、お蔭様で私の店はそれなりの経営を続けております。それは、私の店が表参道という立地に恵まれているからでも、私の経営手腕でもありません。その理由は、私の店が親子三代「利益とは、お客様の笑顔や満足の結果である。」という、至極単純で当たり前の姿勢を貫いてきたからでしょう。前回のコラムにも書いたように、本来、受け手側の幸せや利益のためにあるべきものが、発信する側の独りよがりの物造りや不確かな情報によって、むしろ受け手側に損失を与えている場合が多々あります。日本語には「本末転倒」という言葉がありますが、我々は誰のために、そして何のために働いているのかを、労働者も経営者も、そして株主も、もう一度原点に立ち返って考えるべき時が来ているのではないでしょうか。
 

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21世紀を生きるために
私は、本当の人間の価値とは、資産の額や地位や名誉、まして身分ではなく、「それぞれが置かれた立場と能力を使い、いかに多くの人を幸福にできたか。」であると考えています。すべからく人は、自分を含めた人間の幸福を創造するために生かされています。しかし、現代社会においては、自らの保身と立場を維持するための競争に、人としての健全な判断が麻痺し、その結果として自らの心の安定すら失っているのではないでしょうか。
私は、国や宗教、それぞれの組織の利害や思惑を超えた「人類共通の良識」や「人としての真実」という、新しい時代の扉を開くための鍵が、「日本的な在り方」や「思い遣りの心」の中にあると考えています。始まったばかりの21世紀を、競争原理の中で自らに正邪を問うこともなく、組織やシステムに合わせて生きて行くのか、それとも物資的な価値観から離れ、心の平安とともに人類の幸福を創造して行くのか、もちろんこれは個人の選択の自由です。
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