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Herald Tribune asahi
Japanese People Do Not Know Japan
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「うるしおり」

今回のコラムの写真に使用したものは、私が企画・制作した「うるしおり」という「漆」塗りの「しおり」です。この「うるしおり」は、日々日本の伝統工芸が衰退する中で、日本固有の「漆」の技術を守り伝えるため、また若い職人達の生活の安定と技術の向上のために、彼らにより多くの仕事を出し、一人でも多くの人に「日本の美」を知ってもらうことを目的として企画した商品です。「うるしおり」は、すべて日本製の手作りで、0.6ミリの檜に漆を手で塗り重ね、0.8ミリで仕上げた上に、さまざまな産地の職人が、「漆絵」や「蒔絵」などの伝統技法で60種ほどの図柄を描いています。
www.fuji-torii.com/urushiori/
 
この「うるしおり」に使用しているのは、木と漆、金粉や一部貝などの、言ってみれば単純な材料だけで、このように美しい「しおり」を作っているのです。この美しさは、実用的な強度の試作に始まり、コストを含めて、この小さな画面をどのように構築して行くかという、関係者一同の経験と技、そして、それらを作り上げようとする意識の結晶であり、言い換えれば、関係者一同のエネルギーが物質化しているのです。これは、例え最新のコンピューターや技術を駆使しても、決してこのような美しい仕上がりにはならないと自負しています。
 
エネルギーとは

ここでいうエネルギーとは、制作における時間や作業といった、いわゆる物理的なエネルギーばかりではありません。人が何かの行動や仕事をする時、それがどのような意識で行われるかによって、大きな違いが生まれます。日常の仕事においても、出勤するという意識に始まり、今日の業務や課題をこなすという意識もまた、ただ時間を切り売りするように、マニュアル通りに行う作業と、目的意識をもって行う仕事では、大きな違いがあるのです。さらに、ここでいうエネルギーとは、強制された労働や義務ではなく、仕事や制作における自発的な意識をいい、他人の笑顔を作ろうとする物造りの心をいいます。
 
最新の物理学の世界では、「人間の意識にも質量がある。」といわれるように、人の思いや思考は、それぞれに違う波長を持つ波動であり、波動とは「情報と意識を持つエネルギー」、固有の振動数を持つエネルギーなのです。
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そして、人はこのエネルギーによってさまざまな行動を起こし、この世界を構築しています。このようなエネルギーの存在の証明は至極簡単で、それは意識の伝達によって理解できます。例えば朝、笑顔で「おはようございます。」と家族や同僚に声をかければ、笑顔が返ってくるように、こちら側の意識によって相手に与えたエネルギーで、相手から返ってくるエネルギーもまた変わるのです。

目には見えないもの

我々が物を見るためには光が必要であり、物質がその光をどのように吸収し、どのように反射するかによって、三次元での形や色が決まります。さらに、この物質の世界には、可視光線や赤外線以外にも、紫外線、X線、ガンマー線、宇宙線など、さまざまなものがあり、それぞれの振動数の違いによって我々の眼に見えるものと見えないものがあります。また物質にも、原子、分子、中性子、クオークと、その結合ばかりでなく、それぞれ違う振動数を持ち、それぞれに違うエネルギーを持つのですが、目には見えません。
 
私は、人間の意識も目に見えないものでありながら、エーテル体やエネルギー粒子のように存在し、現在の科学では計りえない、非常に高い振動数をもつエネルギーであると理解しています。それを端的に表現すれば、「人の思い」や「祈り」といった人間の意識や思考も、特定の波長をもつ波動、エネルギーであると理解する方が自然ではないかと考えているのです。日本には「以心伝心」という言葉があり、これは、「何も言わなくても意識や思いが伝わる」という意味ですが、ある意味では、相手の身になって考えるという、日本人の「思い遣りの心」にも通じるところがあるでしょう。
 
美という名のエネルギー

物を造るという作業は、自然界に存在する物質を人間の意識と技で変化させることに他なりません。「うるしおり」を制作するには、職人の経験と技で、木を切り倒して製材し、薄くして形を整え、漆という木の樹液を塗り重ねることから始まります。もちろん、この工程には物理的な力や手間といったエネルギーも含まれますが、その仕上がりにおいては、造り手の長い修行や研鑽の末に身につけた技の波長が波動となって品物に籠り、そのエネルギーの違いに大きく左右されるのです。それが、私が描いた絵と画家の絵との違い、一般の消費財と美術品との違い、消耗品と美術品の違いであり、量産品と献上品の違いなのです。
 
美術品には、それが制作された時点までの、造り手の修行や研鑽による意識や技、造り手の人生経験、人としての在り方をも含めて、すべてが波長となって刻まれており、それぞれの波動を出しています。それが美術品それぞれの振動数の違いであり、その違いは、単純な物質をどのように組み合わせたかという、造り手のエネルギーの違いでもあるのです。我々は美術品を前にする時、どうしも色や形、意匠などに囚われがちですが、実はこのような「美のエネルギー」を直接感じ、鑑賞しているのです。
 
つづく
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