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Japanese People Do Not Know Japan
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「神道」と日本人

前回の第6節のAにおいて、日本人の意識や考え方をご理解いただくために、日本古来の「神道」を取り上げたことで、外国人ばかりでなく日本人読者からも、「神道」の「八百万」といわれる「神々」や「神社」に関する質問が寄せられました。このことは、このコラムのタイトルである「日本人の日本知らず」という日本の現状を表しているでしょう。
 
このコラムでは誌面に限りもあり、「神道」のさまざまな「神々」や、それらを祀る「神社」に関しては、他の専門家の方々にお任せするとして、今回は日本の長い歴史の中で変化してきた「神道」についてお話ししたいと希望しています。
 
変化してきた「神道」

一口に「神道」といっても、その在り方や解釈は長い歴史の中で、さまざまに変化してきました。日本人は、中国大陸で政変が起こる度に海を渡って来る難民とともに、彼らの知識や技術を受け入れてきました。同時に、渡来人の信仰や哲学である「仏教」や「儒教」なども取り込み、それぞれの「仏」や「神」を「神道」に習合してきたのです。私達は、古い信仰や宗教の教義や在り方は、その始まりから一貫したものと考えがちですが、それらは時代や社会の変化とともに、時代時代の為政者や権力者の意向に合わせて、さまざまに変化してきたのです。
 
これは「神道」にも言えることで、日本の歴史において大きな節目であった19世紀末、徳川幕府から明治新政府への政権交代において、新政府は立憲君主制を敷くために、それまでの「神道」を改革し「国教」としました。その後、日清戦争、日露戦争を経て、日本政府による「神道」の政治利用は、先の悲しい大戦の終戦まで続きました。この時代の「神道」を特に「国家神道」と呼びますが、外国人、日本人を問わず、今でも多くの人が「神道」と聞いてイメージするのは、戦前の日本政府によって作られた「国家神道」なのです。先ず以って、すべての読者の方々に、是非ともご理解いただきたいのは、「国家神道」は明治になって整備されたものであって、本来の「神道」とは異なるということです。
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「神道」の誤解

戦後の日本では、「国家神道」が先の悲しい戦争の一翼を担ったとして、「神道」自体を日本人から遠ざける風潮がありました。特に終戦当時に小学生や中学生であった人達は、「神道」自体が「好戦的な右翼思想」であると教育され、戦時中の悲惨な体験を含めて、「神道」と聞いただけで嫌がる人もいるのです。しかし、そのような人々は本来の「神道」の在り方を知らず、先の悲しい戦争に利用された「国家神道」と混同している場合が多いのです。
 
本来の「神道」は日本の歴史や文化、日本人の意識や在り方を支えてきた大きな要素なのですが、悲惨な戦争の記憶と、「神道」に対する根本的な誤解によって、戦後の日本では「神道」そのものを日本人から遠ざけてきました。その結果、大変悲しいことに「神道」は、新年の「初詣」や子供が生まれた時の「お宮参り」、子供の健康を祈る「七五三」などの行事やイベントのようになりつつあるのです。このような状況が、外国人ばかりでなく、戦後生まれの日本人が自国の歴史や文化を知る上で大きな障害となっているのです。
 
私達も「神」の一部

そもそも「神道」は、この島国に住み着いた人々が、宇宙の運行を始めとする大自然の営みを畏れ敬うための儀礼や作法であり、信仰や宗教ではないのです。古代の日本人は、すべての存在には「神」が宿り、すべての事象は「神」の顕れであると考えていました。故に、日本には「八百万」と言われるさまざまな「神々」が存在し、そのような「神々」に日々の安泰や五穀豊穣を感謝する行為それ自体が「神道」であり、日本人の生活の一部だったのです。しかしながら、多くの人々が「神道」を誤解している理由もまた、このような数多くの「神」の存在と、その「神」という言葉の間違った理解にあるでしょう。 本来、「神道」における「神」とは、「宇宙を創造した根本のエネルギー」そのものであり、宇宙の運行や大自然の営みのすべてが「宇宙の根本エネルギー」=「神」の顕れなのです。そして、日本の神話に登場する数多くの「神」も「宇宙の根本エネルギー」の顕れであり、その「神々」の末裔である私達もまた、「神」=「宇宙の根本エネルギー」を宿しているのです。このような考えが、日本の古来の「先祖崇拝」の根本を成しており、「神道」の基本となっているのです。ある意味では、このような考え方は最先端の量子力学に通じるところがあるかもしれません。
 
つづく
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